テレビのCM、新聞、雑誌などで毎日のように目にする”除菌・抗菌”をうたった商品の数々。なぜこんなにも抗菌・抗菌を売り込むのか、そしてなぜ消費者がこれに過剰に反応してしまうのでしょうか?そこにはいくつかの大きな矛盾があります。

矛盾点その1:そもそも人間はバクテリア?

抗菌マニアみたいな人はあまり聞きたくない事実かも知れませんが、人間の体は1kgあたりおおよそ1兆個の細胞でできています。60kgの人は60兆個です。人間が保有するバクテリアの数はおおよそ100兆個です。細胞の数がその生物のアイデンティティを決めるとするならば、人間はもはやバクテリアです。

矛盾点その2:バクテリアがいなくなると困る

バクテリアがいなくなるとビタミンHやビタミンKの生成ができなくなります。バクテリアはステロイドホルモンの生成に深く関わっています。そしてバクテリアがいないと食べたものをうまく消化出来なくなります。さらに体にとって有益なバクテリアは体に害のあるバクテリアを攻撃してくれます。抗菌・除菌の一番の標的になる皮膚にはおおよそ3000万個のバクテリアがいて、外敵から皮膚を守っています。

矛盾点その3:抗菌・除菌は無差別

確かに体に悪さをするバクテリアはいます。でも抗菌・除菌をする商品に”悪いやつだけをやっつける”ことはできません。無差別に攻撃して全体的にバクテリアを殺した結果、そこに悪いやつも含まれていたらいいなぁ・・・ということです。除菌することによって味方のバクテリアをも一掃すればさらに体は外敵に対して弱くなります。

矛盾点その4:バクテリアは進化する

除菌をすると最初はやられていたバクテリアたちは徐々に進化をとげて、従来の方法では駆除出来なくなります。これを耐性といいます。耐性を持ったバクテリアを駆除するために更に強い薬剤が必要になります。いたちごっこの始まりですが、最後に勝つのは一体どちらでしょうか?強い薬剤で耐性のあるバクテリアを殺しても、自分も負傷してしまっては意味がありませんよね?

ではどうすればいいのか?

人体には免疫という機能が備わっています。免疫とは体に必要の無い物を見分けて排除する仕組みです。免疫力を高めるためにはあえてバクテリアに体をさらす必要があります。免疫のすばらしいところは自分の細胞と敵の細胞を見分け、必要の無い物だけを駆除する働きがあるところです。免疫力を高めるにはバランスのよい食生活をし、十分な睡眠をとり、適度な運動をして、ストレスと上手くつき合っていく必要があります。(ストレスと免疫の関係は過去の記事:カイロプラクティックと免疫を参照)

過剰な除菌・抗菌には利点が無いことが分かって頂けましたか?体の本来持つ力を信じて、内面から外敵に強い体をつくるように心がけましょう。