人体が周りの環境に適応し、体内の環境を一定に保とうとする様々な働きを総称してホメオスタシスと呼びます。
カイロプラクティックの用語ではinnate intelligence(生まれながらに持った知能)と呼びます。
例えば・・・
人体の中心部の体温はおおよそ37℃に保たれています。病原体が体内に侵入すると、免疫細胞が活発に活動できる温度にするために体温が上昇します。体温が高くなると体表近くの血管が膨張して熱を逃がしたり、発汗してその汗が蒸発する時の気化熱で体温を下げようとします。
血液のpHは7.35〜7.45という極めて狭い範囲に収まるように主に呼吸器系や泌尿器系の働きによって調節されています。
その他にも血糖値、血圧、体内の水分量など、あらゆる人体の内部環境が自動的に調節されています。
大学時代に体内の生理的な機構を勉強した時、私は人体に備わった超精密な働きに感動を覚えました。何千何万という種類の化学反応が自分の意志とは無関係に、365日、24時間起こっていて、その結果として生命活動が成り立っているのです。
カイロプラクティックの考え方が私にとってしっくり来た一番の理由は、ホメオスタシスに寄り添ったケアを提唱しているという事でした。
体内で起こっていることを察知してその情報を集めて、さらにその情報を元に行動を起こすという一連の働きを主に担っているのが体に張り巡らされた神経系です。この神経系の働きが悪くなれば体の対応が遅れたり異常な信号として受け取ってしまうことがあります。
脊柱の中には脊髄という情報の高速道路のような神経の束が納められています。(三重県にお住まいの方であれば国道1号線や23号線をイメージしていただければ分かりやすいのではないでしょうか。)体を維持するために必要な情報の多くはこの脊髄を通っていくので、ここに何らかの異常があれば体の正常な機能の邪魔になります。まさにこの情報の通り道を整備して、体の機能を最大限に生かそうというのがカイロプラクティックの考え方なのです。だから、カイロプラクティックは特定の症状に対してアプローチをかけるものではありません。あくまで、体が自動的に直そうとする機能が万全の状態で働くことが出来るようにお手伝いしようということなのです。
我々の体は超高性能な超精密機械です。少しでも気持ちよく働いてもらうためにもバランスのとれた食事をし、適度な運動をし、十分な休息をとり、カイロプラクティックによるメンテナンスをしてください。