前回は正しいこけ方の<こけ方編>を書きました。

今回は<予防編>です。

上手に転倒する方法を意識するよりも、どうしたら転倒しないのか?を考えた方が建設的です。そもそも転倒の原因とは何でしょうか?

リスクその1:筋力低下

特に脚の筋力低下がその大きな原因の一つとなります。筋肉は使えば太くなり、使わなければ細くなるという非常に単純なメカニズムで成り立っています。また、動かすためだけでなく、地面に足が着いた時の衝撃を和らげる効果や体の柔軟性にも筋力が大きな影響を及ぼします。

リスクその2:バランスと歩行パターン

バランスが悪かったり歩行が困難な方は転倒しやすいです。運動不足、内耳の神経障害、関節痛、その他の原因が考えられます。カイロプラクティックの見地からは姿勢の崩れからくる背骨の不均衡が考えられます。

リスクその3:立ちくらみ

座っている状態から急に立つと血圧が下がって立ちくらみが起きることがあります。これを起立性低血圧と呼びます。脱水(詳しくは過去の記事”脱水症状・意外な原因“を参照)、飲んでいる薬の副作用、糖尿病、パーキンソン病、感染症などで起こることがあります。

リスクその4:反射の低下

高齢になると反射スピードが落ちます。これによって転倒している、もしくは転倒しそうなことが分かっても反応できない場合があります。

リスクその5:感覚神経の問題

坐骨神経痛、脊柱管狭窄症、糖尿病など、何らかの原因で足が麻痺していたり感覚が低下しているとき、転倒のリスクがぐっと上がります。

リスクその6:視力の低下

下に落ちているものや段差が見えなかったり、視野が狭くなることによって転倒しやすくなります。

リスクその7:混乱

例えば、高齢者の場合、旅行先などでいつもと違う場所で寝て朝起きた時に一瞬混乱することがあります。その場合は落ち着くまで立ち上がらずに冷静になることが重要です。

リスクその8:薬の副作用

副作用としてめまいを起こさせる薬を服用している場合は十分注意が必要です。4種類以上の薬を飲む人はそれ以下の人に比べて転倒のリスクが上がると言われているので、心配な方はかかりつけの医師と相談すべきです。

それでは本題の予防ですが、簡単に言ってしまえばリスクと反対のことをすればいいのです。

・体を動かす!
・薬を見直してみる
・アルコールの摂取量を抑える
・座った時と立った時の血圧をチェックしてみる
・目の検査をする、自分に合った眼鏡をかける
・足に合った靴を選ぶ
・いいカイロプラクターを見つける(←これが一番重要です 笑)

この中で自分ですぐにできるのは「体を動かすこと」ですね。

体を動かすと筋肉が刺激されて、その強さを維持して、転倒のリスクを下げることができます。高齢者の転倒が死亡に直結することを考えると、運動は死亡リスクを下げると言っても過言ではありません。

下半身の筋肉を鍛えたいときにはウォーキング、階段登り、エクササイズバイクなどがオススメです。パーキンソン病の方に非常に効果があるとされている太極拳もとても良い運動です。太極拳の動きのなかで筋力の強化、バランス感覚の強化、そして自分の重心のコントロールの仕方を覚えることができます。

医療費に比べれば予防に使う費用は微々たるものです。もっともっと日本人は予防に目を向けるべきなのです。

最後に、カイロプラクティックの役割についてお話しします。

体がバランスをとるには、身体中に張り巡らされた神経というセンサーによって情報を集めながらそれに適応しなければいけません。その情報が通っている場所が背骨であり、脳からの信号は全て背骨を通っていきます。頭が正しい位置にあるか?、体重のバランスはとれているか?、体はスムーズに動くことができるか?・・・それを分析して矯正するのがカイロプラクティックです。

転倒について書きましたが、運動することは転倒だけでなく他の病気の予防にもつながります。無理のないペースで日常的に行うことのできる運動を見つけてより人生を楽しんでください。