人の体の60%は水です。たった1.5%の水分が体から抜けると軽い脱水症状が始まると言われています。脱水になると、倦怠感やイライラ、思考能力の低下などがあらわれます。脱水症状といえば頭に思い浮かべるのは暑い日に水分補給を忘れて汗を沢山かいた時などですが、実は脱水症状になる原因は他にも沢山あります。

1. 処方箋の薬

医師から処方された薬を飲んでいる方は、副作用の欄をよく読んで下さい。多くの薬には利尿作用があります。最も一般的なのは血圧の薬です。また、副作用に下痢や吐き気などがある場合はやはり脱水症状を助長しますので、水分をちゃんと摂るようにしましょう。

2. 糖尿病

糖尿病を持っている人の中でも、特にリスクが高いのは、糖尿病に気づいていない人です。体は血糖値が高いと、尿と一緒に糖を排泄しようとします。頻尿が続けばそれだけ体内から水分が出て行くことになります。どれだけ水を飲んでも喉が渇いていたり、トイレに行く回数がとても多いなと感じたら糖尿病の検査を受けてみましょう。

3. 月経

月経の時期にはいつもより沢山水分をとりましょう。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは体内の水分量に影響を与えます。PMSに悩んでいる人は特に水分量には気をつけましょう。また、月経が重い場合は出血量が多く、それに比例して体内から失われる水分も増える事になります。

4. 低炭水化物ダイエット

アトキンスダイエットなどに代表される低炭水化物ダイエットに取り組んでいる場合は、脱水に気をつけて下さい。炭水化物は水と一緒に体内に蓄えられています。炭水化物の摂取を減らしたり止めたりすると早い段階で体重が急激に落ちるのはこのせいです。お米は調理すると水を吸い込んでごはんのじょうたいになり、これを食べる事で同時に水分も得られます。炭水化物を減らすということはこのときに摂取する水分も減るということになりますので、水を飲んだり野菜やスープなどを増やしてこの分を補って下さい。

5. ストレス

ストレスが高い状態では、副腎からアドレナリンというホルモンが放出されます。ずーっとストレスが高いままだと、副腎がだんだんと疲れてきて、機能が低下してしまいます。副腎からはアドレナリンの他にアルドステロン(抗利尿ホルモン:体内の水分と電解質量を保持する役目のあるホルモン)というホルモンが分泌されています。副腎の機能が低下すればアルドステロンの分泌も低下し、結果的に体内の水分と電解質の量が低下し、脱水症状を助長します。水分を補給すれば一時的には脱水症状を逃れる事ができますが、本当に改善するにはストレスと上手につき合っていく方法を考える必要があります。

6. エクササイズ

喉が渇いた!と感じたときにはもうすでに脱水症状は始まっています。エクササイズによる汗の量は気候条件や個人差によってまちまちですが、軽い運動なら汗をかく量は少ないという考え方は間違っています。運動した後は必ず水分補給をしましょう。水分補給料の目安としては、運動前と後に体重を計り、その差0.1kgあたり120mlの水分を補給するのが理想的です。

7. 妊娠

妊娠中は血液量も心拍出量(心臓が1分間に動脈に血を送る量)も増加します。つまり血液の量を保つためにそれだけ水分が必要となります。つわりなどで嘔吐をすることによりやはり水分が失われます。胎児の健康を保つためにも水分を多めにとりましょう。

8. 母乳

母乳に含まれるのは電解質、タンパク質、ミネラルなどの栄養素と水です。赤ちゃんが母乳を飲む量は個体差がありますが、全て母体から出るものなので、母親は失った分をきちんと補給する必要があります。母乳が出にくい原因の一つに脱水症状があります。思い当たる方は水分量を始めとした各栄養をの十分な摂取を心がけて下さい。

9. 加齢

年を取ると体内の水分量が低下し、喉が渇く感覚も鈍くなってきます。これはつまり、脱水症状になりやすく、またその状態を自分で感じにくくなってくるということです。喉が渇いたから飲むというのではなく、1日にOOOml飲むと決めて、いつも身近にペットボトルなどを置いておくといいでしょう。その人の活動状態(沢山動いたから多めに飲むなど)に合わせて量を調節するとさらに良いと思います。

10. サプリメント

薬と同様にサプリメントの種類によっては利尿効果のあるものがあります。薬と併用して飲んでいる方や気になる方はかかりつけの医師や専門家に相談することをおすすめします。

11. 高地

ハイキングや登山等で高地に出かける際は脱水症状に気をつけて下さい。人体は高地に適応するために呼吸数を上げ、尿の量も増えます。呼吸数が増えると呼気と一緒に体内の水分が排出される量が増えます。このため定期的な給水が必要になってきます。

12. 飲酒

お酒を飲むとトイレに行きたくなります。アルコールは抗利尿ホルモン(体の中に水分を蓄えようとするホルモン)の働きを抑え、膀胱へ尿が溜まるのを促進します。やっかいなのは、飲んだ分の水分よりも排出する水分の方が多くなってしまう事です。これは抗利尿ホルモン抑制のおかげで体中の細胞から水が絞り出されてしまうからです。二日酔いの主な症状は喉の乾きと倦怠感です。これはつまり脱水症状です。

13. 食事

ダイエットのため、時間がないから、などの理由で食事を減らしたり全く食べない人がいます。食事から得られる水分量はけっこうなもので、食事を抜いてさらに水分も摂らないと簡単に脱水症状になってしまいます。例えば朝食をいつもの半分に減らした場合、それを補うためにグラス2杯分の水が必要です。

このように、様々な理由で脱水症状になる可能性があります。これからの季節、十分な水分を摂って暑い夏を乗り越えましょう。