綺麗な景色を見る、すばらしい音楽を聞く、おいしい料理の臭いを嗅ぐ、そして美味しい物を味わう。
これらの感覚が身体の一部分で行われるのに対して、何かに触れたりする感覚というのは身体のいたるところで感じることが出来ます。これは皮膚の深いところにある組織、”真皮”に触る感覚を伝える器官があるからです。神経終末と呼ばれる神経細胞の先っぽのセンサーが沢山あって、それが脊髄→脳へと信号を伝えます。
身体には20種類ものセンサーがあって、それぞれ違う信号を伝えているのですが、その中でも特に多いのが”熱い”・”冷たい”・”痛い”・”何かに触っている”という感覚です。この中でも痛いという感覚は特に重要です。痛いことが分からないと身体が危険にさらされている事を認識できないからです。
身体にはいろんな感覚に対して敏感な所とそうでないところがあります。舌を噛んだことがあると思いますが、ものすごく痛いですよね?敏感なところにはセンサーが沢山集まっているからなんです。舌には特に痛みを感じるセンサーが多く、それに比べて”熱い”と”冷たい”には鈍いです。猫舌の人は特に熱いものを感じるセンサーが多い人、ということになります。
人間の指先は非常に敏感です。盲目の方が点字を早く読むことが出来るのも、一つの指先につき、おおよそ100コの”触れる”センサーが密集しているからです。皮膚は人体で一番大きな臓器で、センサーの集合体です。好きな人に触れられると心が落ち着き、嫌いな人には触れられたくもないという感覚も頷けますね。また、人体でもっとも感覚の鈍いところは背中です。ピンセットなどを開いたまま背中に当ててみて下さい。先が2つに分かれているはずなのに一本に感じます。
カイロプラクティックは触れる職業です。触診は皮膚の上から皮膚の温度、質感、浮腫、隆起、陥没等を感じ取ります。これはその部分で何が起こっているかを指先のセンサーで感じ取っているのです。また、矯正する時は自分の感覚を頼りに力を加える方向や深さなどを感じながら行います。そしてこれらの感覚を感じ取る所は人体で一番精度の高い部位、つまり、手や指先です。
手で触れることは最も基本的で、最も重要な人を癒す行為だと私は確信しています。施術を受けている患者さんが心地良くなるのは手のチカラです。