”普通にご飯を食べていればカルシウムに気を使うことはないよ〜”
と、ニュージーランドのオークランド総合大学医学部教授のDr. Mark J. Bollandが主張されてます。
その根拠は次の二つの研究です。
①５０歳以上の男女13,790人を集めて、食事やサプリメントで摂るカルシウムが骨密度とどのような関係があるかを調べました。結果、カルシウムを多く摂取している人の骨密度は他と比べても1〜2%程度しか変わらず、骨折の予防という観点では全く効果はないという結果が出ました。
②45,000人を対象に行ったカルシウムのサプリメントの調査では、骨折のリスクの抑制とは全く関連性が見られませんでした。一部のサプリメントではわずかに脊柱の椎骨の骨折リスクの減少が見られましたが、股関節や前腕（手の肘から前の部分）に関しては効果が認められませんでした。
というわけで、カルシウムのサプリメントは５０歳以上の男女において骨折の予防にはなり得ないということが明らかになったわけです。
骨を強くする最も効果的な方法は運動です。なぜなら、骨は刺激に対して強くなるからです。ずっと座っていたり、体を動かさないでいると骨は弱くなります。
1960年代、宇宙飛行士が宇宙に行って帰って来たとき、強靭な体をもっているはずの宇宙飛行士は座ったままインタビューを受けていました。無重力状態ではその名の通り、重力を受けないため、筋肉や骨に対する刺激が極端に少なくなり、結果筋力が低下したためです。骨密度の低下も見られました。宇宙に行ってなにもしなければ1月あたりおおよそ1%ずつ骨密度が低下すると言われています。だから宇宙飛行士は宇宙でもトレーニングをしています。
骨密度が心配な５０代以上の方は、とにかく運動をして下さい。
そしてバランスよく食事をとって下さい。
基本的な生活の中に体質改善のヒントがたくさんあります。
参考文献：British Medical Journal
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h4580 (Published 29 September 2015)
Cite this as: BMJ 2015;351:h4580